2009年10月18日、情報学環・福武ホールにて、第2回ワークショップ「たのしい科学~岩波映画の理科教室」が開催されました。今回のワークショップは、科学映画というテーマにふさわしく、趣向を凝らした教室形式で行われました。 1時間目の映画上映に引き続き、2時間目は岩波映画製作所OBの牧衷氏から当時の科学映画の製作環境や製作秘話を伺いました。また3時間目には、岩波映画を教材として、実際に中学・高校で理科の授業をしている長谷川智子氏と櫻井順子氏による体験授業も行われ、会場は大いに盛り上がりました。 牧氏は科学映画の意義について「イメージっていうものが非常に大事だということを考えておりまして、それは教科書で活字で見たんじゃだめなんですね。科学映画を作るっていうことは、そういうイメージを豊かにする。イメージを通じて、科学を分かってもらいたいという思いがとても強かった」などと語りました。 体験型の授業は参加者にも好評で、会場からは「正直理科は苦手なので科学映画はおもしろくないと思っていたが、実際に見ると思わずはまってしまった」「〈見る〉だけに留まらない〈使う〉映画の魅力を味わうことができた」といった声が寄せられました。科学映画の魅力と可能性を再発見する楽しいワークショップとなりました。 |
記録映画のアーカイブを活用して、映像を用いた多様な研究・教育の可能性を再発見する連続ワークショップ。その第2回は、岩波映画のコレクションのなかから、その原点ともなった科学映画を取り上げます。
岩波映画製作所の前身である中谷研究室プロダクションは、1949年、低温科学研究で知られる中谷宇吉郎・北海道大学教授らを中心に設立されました。その目的は、これまでにない新しい科学映画を製作することにありました。
記念すべき第一作である「凸レンズ」を皮切りに、テレビの科学番組の草分けとなった「たのしい科学」シリーズ、理想の理科教材を目指した「科学教育映画体系」など、数多くの魅力的な科学映画を作り出したことで、知られています。
手作りの実験器具を使って、対象の一瞬の動きを捉える科学映画の数々は、いま見ても新鮮な驚きに溢れています。これらの科学映画はどのように作られたのか。戦後の日本において科学映画はどのように受け入れられたのか。これらの科学映画をいま改めて見直す意義とは何か。
今回のワークショップでは、遊び心満載の教室形式で、岩波の科学映画の歴史を振り返ります。科学映画を使った理科の体験授業なども交えながら、科学と社会をつなぐ映画の可能性について考えます。
主催:東京大学大学院情報学環(記録映画アーカイブ・プロジェクト)
ゲスト:
牧 衷(科学映画製作者・岩波映画製作所OB)
岡田秀則(フィルムセンター主任研究員)
長谷川智子(中学理科講師)
櫻井順子(高校理科講師)
入場無料・HPにて事前登録制
*終了いたしました。
13:30 | 開場・受付開始 |
14:00-14:45 |
開会 総合司会:丹羽美之(東京大学) <1時間目> 上映:科学映画を見る 「凸レンズ(1950年・17分)」 「たのしい科学 冷蔵庫の話(1960年・14分)」 「ものの燃える速さ(1967年・14分)」 |
15:00-15:45 | <2時間目> 対談:映画史から見た科学映画 牧 衷・岡田秀則 |
16:00-16:45 | <3時間目> 体験授業:たのしい科学の時間 (来場者全員に、映画を使った実際の中学校の理科授業を実施) 映画「力のおよぼしあい(1967年)」 講師:長谷川智子・櫻井順子 |
17:00-18:00 | <4時間目> 討論:映画がつなぐ科学と社会 コーディネーター:佐倉統(東京大学) パネリスト:牧衷・岡田秀則・長谷川智子 |
18:00 | 終了 |