20世紀を通じ、膨大な数の映像が同時代を記録してきました。日本でもこれまで数多くの記録映像が作られてきました。これらは当時の社会や文化、そこに生きた人々の生活や風景を記録した貴重な文化遺産と言えます。しかしいま製作会社の倒産や解散により、これらのフィルムの廃棄や散逸がはじまっています。膨大な記録映像のフィルムが消え去ろうとしています。
記録映画アーカイブ・プロジェクトは、このように消失や散逸の危機にある貴重な記録映画を体系的に収集・保存・公開し、映像を用いた多様な研究・教育の可能性を開くことを目的としています。東京大学大学院情報学環を拠点に、東京藝術大学大学院映像研究科や東京国立近代美術館フィルムセンター、記録映画保存センター等と連携しながら、記録映画のアーカイブ化とその利活用の道を探っていきます。
具体的には、①記録映画を収集・保存・公開するための制度・環境整備、②記録映画を用いた様々な研究・教育の実践、③シンポジウムや上映会を通じた成果の発信と公開、などに取り組んでいきます。これらの活動を通じて、記録映画の保存と継承に向けた課題を明らかにします。と同時に、記録映画がもつ多様な可能性を引き出し、新たな映像文化・研究の創造・発信拠点を作り出していきます。